C.ニールセン 交響曲第4番《不滅》より 第4楽章 Allegro【アンサンブル・フリーWEST第34回演奏会】

アンサンブル・フリーWEST第34回演奏会より 交響曲第4番《不滅》 第4楽章 Allegro
2022年5月22日(日)
住友生命いずみホール

指揮:浅野 亮介

■プログラムノーツ
ニールセンは、北欧デンマークの最も有名な作曲家であり、6曲の交響曲に加えて様々な協奏曲や合唱曲によってその名声は我々の知るところとなっている。今回のプログラムで同時に取り上げるシベリウスとは、「同じ年に生まれた北欧の作曲家」として度々比較されることがある。
著名な北欧の作曲家が活動していた後期ロマン派の時代は北欧諸国がナショナリズムの確立を目指していた時期と重なっている。そのため、北欧作曲家の作品として、シベリウスの”フィンランディア”やグリーグの”ペール・ギュント”など、民族色の強い作品が取り上げられることが多い。しかし、シベリウスやニールセンの交響曲はそれらの作品とは一線を画す作品である。
彼らの交響曲において、頭に入れておかねばならないことは、「愛国心による国民楽的情緒」が創作理念には含まれていないことである。シベリウスは自身の交響曲に対して「絶対音楽であり、内密に動機が結びつくことによって生まれる音楽」であると語っている。同様に、ニールセンも自身の音楽における哲学について「愛国心ほど音楽を破壊するものは無い」と語っている。すなわち、「ニールセンの音楽=北欧デンマークの音楽」という、今でもしばしば誤解されがちである認識を、ニールセン自身が否定している。むしろ、ニールセンはルネサンスのポリフォニーを詳細に研究していた。そのため、ニールセンの交響曲は国民楽的要素が溢れ出る作品ではなく、正統なクラシック音楽の流れを汲む作品として捉える必要がある。

交響曲第4番には、ニールセン自身が”Det Uudslukkeligge” という副題(デンマーク語)をつけており、日本では「不滅」や「滅ぼしがたきもの」、「滅ぼし得ざるもの」などの訳で親しまれている。この副題は具体的というよりは抽象的にこの交響曲全体につけられたものと考えるのが自然であろう。また、ニールセンの交響曲は6曲とも目まぐるしい転調が用いられているが、この4番以降は多調性を採用しているため、明確な調性は定められていない。
本作品は単一楽章から成るが、その性格から4部に分けて考えることができる。第1部は激しいニ短調によって始まり、第2主題的な役割を持つイ長調のクラリネットが奏でられる。牧歌的な第2部、悲劇的な第3部を経て凛々しい第4部へと進み、ホ長調で曲は結ばれる。第4部では、しばしば「バトル」とも表現される2対のティンパニによる演奏や、第1部の第2主題が回帰する構成が聞きどころである。

「北欧の作曲家」ではなく、「20世紀のシンフォニスト」としてのそれぞれの真ん中の作品にあたる、”交響曲第4番”の聴き比べをお楽しみいただきたい。

第1部 Allegro
第2部 Poco allegretto
第3部 Poco adagio quasi andante
第4部 Con moto – Allegro

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